ダッカで脱皮

ダッカで脱皮

3ヶ月のバングラデシュ・ダッカ滞在記。インターン生としての情報発信。2019.7~

途上国で物乞いに会ったら、どうしていますか。

あなたは、他の国へ行って

 

お金をください と言われたらどうしていますか。

 

 

 

おそらく、途上国へ行かれたことのある方の

 

ほとんどは物乞いに遭遇した経験があると思います。

 

むしろ、遭遇したことない人の方が少ないかもしれません。

 

日本に住んでいると、そんな問題なんて考えることもありませんが、

 

途上国には物乞いがたくさんいます。

 

 

僕も海外へ行くときは路上で物乞いを見かけたり、お金をねだられることがあります。

 

そしてどの国でも旅行者にお金を貰おうとする人はいます。

 

 

 

フィリピンのストリートチルドレン

 

タイやベトナムの路上で悲しげな眼差しで見つめてくる老人たち、

 

雑草で作ったよくわからないものを売りつけてくるモロッコの子どもたち。

 

はたまた、先進国と呼ばれる国でもいないわけではありません。

 

オランダのアムステルダム

 

イギリスのロンドンにだって路上でお金の寄付を待つホームレスがたくさんいます。

 

 

他の方法でお金を貰おうとする人もいます。

 

 

例えばパリのモンマルトルでは耳の不自由なおばあさんがアンケート用紙を持って近づいてきて、

 

喋れない(聞こえない)ながらもここに名前と数字を書いて、と促してきたことがあります。

 

全てがフランス語でよくわからないまま10と書いたら、10ユーロのことだったらしく

 

困っていると腕を掴まれ、財布のあるポケットを触られ奪ってこようとしてきた例もありました。

 

(その時は手を振り払って立ち去りました。が、罪悪感でその日は旅行の気分になれませんでした。)

 

 

 

どこの国にも物乞いはいます。

 

そして、どう対応していいか、困ったり

 

あるいは渡さない自分に罪悪感を感じたり、困ったりしたことはありませんか。

 

 

 

 

バングラデシュ × 物乞い事情

 

今僕のいるバングラデシュにも大勢の人が物乞いをしています。

 

僕の行った他のどの国よりも、はるかにその数は多いです。

 

その人の多さに、来た当初は戸惑いを隠せませんでした。

 

 

しかし、バングラデシュの物乞いは、他の国とは少し訳が違います。

 

 

バングラデシュには、首都のダッカでさえ観光客はほとんどいません。

 

しかし、現地の人に対してお金を恵んでほしいと、路上には多くの物乞いがいます。

 

まだ小さくて可愛い子どもたちから、

 

おばあさん、おじいさん、赤ん坊を抱えたお母さんまで。

 

そして、よく見かけるのが、手足を無くしたり(切断されていたり)、今にも死んでしまいそうなほど衰弱して寝ている人、痛々しい傷を負っている人たちです。

 

思わず怖さで目を背けたくなるような現実も、こちらではまるで日常に溶け込んでいます。

 

そしてモスクの前や、富裕層の集まるデパートの前にほど、特に多くその情景を見かけます。

 

 

 

では、なぜバングラデシュは少し訳が違うと言ったのでしょうか。

 

 

 

それは、バングラデシュイスラム教の国だからです。

 

実際に多くの現地の人のが物乞いにお金を渡しています。

 

イードでは貧しい人に食を分け与えたり、バクシーシ(喜捨)と言ってイスラムの教えの一つにあるように、

 

ki1.hatenablog.jp

 

こちらではお金を持っている人が貧しい人に分け与えることは私たちよりも普通の概念なのです。

 

ここでは、富裕層が低所得者層に富を分け与えることは「」につながるのです。

 

現地のバングラ人の友人たちも時には財布からお金を取り出して、物乞いに渡しています。

 

(もちろん中には渡さない人もいますし、僕には払わなくていい、と言ってくる友人もいます)

 

 

 

 

 

 

ではどう対応すればいいのか。

 

結論から言ってしまえば、正しい答えは無いと思います。

 

こちらに来て、いくら考えても物乞いに対する解決策は思いつきませんでした。

 

しかし、突然そう言った状況に出くわした時のために、自分の中でのルールのようなものを決めておけば、のちに罪悪感や深く考えることはなくなると、僕は思います。

 

また、その国・地域の事情を知っていることも大切だと思います。

 

それは、物乞いによってもいろいろとバックグラウンドが違うからです。

 

 

 

よく、途上国の物乞いにお金を渡してもそれは貧困の解決にはならない、と言われますよね。

 

子供に渡しても、裏で大人が管理している。

 

そういう悪徳なビジネスが蔓延している。

 

実際に物乞いをしている人にはお金が渡らない、マフィアが裏にいる など。

 

本当の真実はもちろん僕自身裏を見たことがないので知りませんが

 

インドの物乞いビジネスを描いた『レンタルチャイルドー神に弄ばれる貧しき子供たち』という本では厳しくも痛々しくもある衝撃的な内容が述べられています。

 

レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち (新潮文庫)

レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち (新潮文庫)

 

 

 

 

また、物乞い(特に子どもに)にお金を渡してはダメだ、という人もいます。

 

そんなの偽善でしかないと。

 

楽してお金を稼ぐことを知った子どもは、努力をしなくなる。

 

大人になったら、子供贔屓で貰えていた現実がなくなり、それが犯罪に繋がるんだと。

 

負の循環を作るきっかけになるんだと。

 

 

ロッコの雑草売りはまさにこれに該当してしまうかもしれません。

 

 

 

 

いろんなパターンがありますし、いろんな意見があるのもいいんだと思います。

 

 

 

 

 

 

僕はどうしているのか。

 

僕は一人旅が好きで大学生になってからいろんな国に行きました。

 

その中でも発展途上国にも旅行者として行ってきました。

 

 

 

大抵Tシャツに ジーパンの、質素な服装をしていますが、

 

現地の人々には、違う見た目の人が来たら観光客だって思われるし

 

一人で歩いてるからこそ、あの人なら貰えると思われて近寄ってくることもあるんだと思います。

 

 

 

物乞いに情を感じてお金を渡したが、

 

お礼一つなく もっとちょうだいと迫ってくる人や

 

一人に渡した瞬間周りから大勢の物乞いが寄ってきたこともあります。

 

 

恐怖も感じたし、罪悪感や嫌な気持ちも感じました。

 

 

初めの頃は、物乞いに情を移すことが多く(今でもそうですが)、詳しい事情も知らなかったので

 

ほんとに小さなお金でしたがあげてしまうことが多かったです。

 

特に小さなこともが寄ってくると、断ることに罪悪感を感じてしまってました。

 

 

 

しかしそんな場面を嫌ほど多く遭遇したり、それがビジネスである可能性を知ったりして、

 

次第に素通りするようになっていきました。

 

正直、目を合わせたらダメだ、とも思ったことすらあります。

 

 

 

ある時 せっかく旅行をしているのに、なんでこんなこと考えなきゃいけないんだと

 

無性に苛立ちを感じたこともあります。前述したパリの時です。

 

それからいくら物乞い見かけても、素通りすることが多くなりました。

 

 

 

 

 

だけど、旅を続け、いろんな貧困の情景を見て歩いてると

 

自分が先進国・日本に生まれ、何不自由なく生活できているのも

 

それはただ自分が先進国に産み落とされたからなんだと考えさせられるのです。

 

この人たちは好きで物乞いをしているわけではないと。

 

なんて思いますし、考えれば考えるほど答えは出なくなりました。

 

自分は恵まれているのに、お金を渡さないのはどうなんだと。

 

 

物乞いへの「自立を妨げる行為」と批判の理由を言えるのも、

 

自分たち日本では社会的弱者への救済手段があるからこそ言えることであって、

 

途上国には貧困者を救うシステムが無いのに、自分たち先進国の状況と重ねて考えるのはどうなんだと。

 

 

 

 

 

バングラに来て、ある同年代の友達から言われたことがあります。

 

You are lucky to born in Japan.

 

この時僕たちは旅の話をしていました。

 

バングラデシュの学生は、どんなに世界へ行きたくても

 

そう簡単に外へ行けない現実があります。

 

日本に行きたくても入管の厳しい許可が必要で、それから大使館で面接をします。

 

他の国へ行くにも同じです。

 

僕らは違います。

 

パスポートを見せるだけでほとんどの国にいけます。お金さえあれば。

 

 

 

自分は日本に生まれたからこそ、海外観光客になれるし、

 

留学やインターンにも行ける。

 

それが、いくら自分が語学やバイトを頑張った結果だとしても

 

日本に生まれたからこそ、できてることなんだと。

 

 

 

 

 

 

結局

 

対応の仕方に答えはないと思うんです。

 

渡しても、渡さなくても、

 

自分で働くことのできない障がいのある人には渡したり、子供にはお菓子をあげたり、

 

どう見ても食べていけてる人には渡さなかったり。

 

自分なりにその場で考えた対応を取ればいいんだと思います。

 

渡すことで相手が笑顔になって、自分もそれで気持ち的に解決するならそれでいいし、

 

かといって、渡さないから薄情なやつ になるわけではないし

 

渡さないからと行って罪悪感を感じることもないのです。

 

 

 

その人があからさまにお金をねだってきたり、

 

ビジネスや犯罪、

 

お酒の匂いがしていたり、なんかは絶対にあげたくないと思いしまいますし。

 

 

 

その時渡したい、と思えば渡せばいい。

 

そんな対応でいいんだと思います。

 

※危険だと判断した場合はあげてはいけないです。地域によっては物乞いを装った犯罪などがあるそうです。

※大金(現地の人の収入額などを考慮した上で)をあげるのも危険です。周りの人がどんどん押し寄せてくる可能性があります。

 

 

 

 

 

こちらバングラに来てから、

 

物乞いを見かけることが急に多くなったので、考えることがよくあります。

 

ここでは、自分から寄ってくる人は比較的少ないと実感しております。

 

お金を渡してもらうのをひたすら座って待っている人が多いです。

 

 

 

僕はお金やお菓子を渡すことが他の国へ行った時よりも比較的多くなりました。

 

決してそういった自分がえらいと言っているわけではありませんし、それを促しているわけではないです。

 

お金をあげてはいけない、という意見もわかりますし、渡さないことももちろんあります。

 

 

ただ、ここにいる人たちは、渡したら心から溢れるような何かでメッセージを伝えてくる人が多いです。

 

本当に、ありがとう と。

 

そんなことを言われたら、10円でもあげたほうが僕としてはいい気持ちになりますし、

 

そんなことで貧困が解決することはないのは承知ですが、少しでもよくなってくれたらなとも思うのです。

 

 

 

 

 

 

貧困は難しいです。考えれば考えるほど難しいです。

 

たとえお金をあげたとしても、そんな自分一人の力ではその国の貧困全てを変えることはできません。

 

物乞いがいなくなることは、ないんです。

 

ただ、実際にそう行ったことが起こったら、考えてしまいませんか。

 

 

 

 

 

 

 

皆さんは物乞いに遭遇した時、お金をくださいと言われた時、どうしていますか?

 

 

 

 

 

 

 

※物乞い という言葉は差別用語とされますが、当記事では内容をわかりやすくするため使用しています、ご理解お願いします。